デンマークから伝統工芸を体感するツアー

投稿日:2018年11月10日 更新日:

ひょんなことから、デンマークの方に越前の伝統工芸をめぐるツアーを開催することになりました。私自身もかつてデンマークで環境と教育を学ぶツアーに参加したことがあり、その時に受けた現地の方のおもてなしなどからとても感激したことがあり、今回お返しができるチャンスをいただけたことはとても光栄なことでした。

さて、今回のツアーのほとんどが陶芸作家の方。日本中の伝統工芸や文化を観光されてきており、すでに日本のコンテンツをよくご存知のようでした。その中でも、「越前」がハイライトのようで、皆さんとても楽しみにしていました。

越前伝統工芸の紹介は、5つ全て回ることにしました。

スタートは越前漆器の「漆琳堂」さんに伺いました。専務取締役の内田徹様から漆器や漆についての説明をいただき、器のデザインについても四季折々の意味があることを学びました。また、滅多に入られない工房へも立ち入ることができました。若い方が伝統工芸を注いでいる姿を目の当たりにして、皆さんとても感動していました。

次は、越前陶芸村へ。まずはランチで越前そば「だいこん舎」さんで、特製のお蕎麦ランチをいただきました。お蕎麦を盛り付ける器が一つ一つ異なり、見て良し、食して良しのとても味わい深いものでした。食後に店主の南和孝さんに「いただきます。ごちそうさま。」について講和をいただきました。深く感動された方が感極まり、「あなたの料理には愛がある」と涙ながらにコメントされたのがとても印象的でした。

食後は、越前陶芸「風来窯」へ。大屋宇一郎さんがろくろを回す姿を見られるのも、とても素晴らしかったのですが、参加者の多くが陶芸家であり、作品ができるまでの工程を見る姿がとても真剣でした。皆さんすごい! 風来窯はその建物や風景が里山風情で印象的であり、食後のリラックスにもとてもいい感じでした。しかも、お別れの時には、大屋さんのオカリナ演奏まであって、とってもなごやかになりました!

この日の最後が、越前和紙。「長田製紙所」で紙すき工場を見学させていただきました。長田泉さんにご案内いただきました。ここでは大きい襖紙を作られることが多く、機械や作業風景がダイナミックで、長田和也さんの紙づくりも見ることができ、滅多にないチャンスにめぐり合うことができました。ここではキュートな泉さんが大人気で、「イズミチャーン♪」と呼ばれとても和やかなひと時でした。

ついで、「杉原商店」へ。こちらは蔵を改装したギャラリーが見事で、見学するだけでも風土を感じることができる場所です。杉原吉直さんから、越前和紙の歴史や工程を教えていただきました。旅の締めくくりで疲れている中、リラックスできるスペースでゆったり過ごせて、皆様からもとても良い印象をいただきました。

翌朝は越前箪笥の「ファニチャーフォリック」へ。山口祐行さんから越前箪笥の歴史や緻密さ、現在への変遷などをお話しいただきました。お話を進める中で、デンマークとの関わりがとても深いことに気づきました。山口さん、実はデンマークの工芸作品を作成するプロジェクトに日本代表に一員として加わり作品作りをしたことがあって、今回のツアー参加者とも共通の知り合いがいて、予期せぬデンマークの話題に話が盛り上がりました。

そしてラストは、越前打刃物。「高村刃物製作所」へ伺い高村光一さんに刃物の製作工程を見学しました。越前打刃物が世界的にもニーズが高いことを初めて知った方も多く、世界一のレストランNOMAがコペンハーゲンにあり、そこのシェフが愛用するのが高村作刃物であることを知り、またもここでデンマークつながりに盛り上がりました。実際に包丁を使って薄切りしてみると、ほとんど力を入れずに切れちゃうことにめっちゃ驚き!これぞ越前打刃物の特徴ですね。

今回は、1日半のツアーでしたが、皆さんとても感激されたようで私自身もとても良い経験となりました。この企画は若い世代の工芸士を対象に訪問しました。デンマークでも世代交代が課題の一つであるようで、それがうまくいっている事例を見て日本の伝統文化は技術や意匠だけでなく、人づくりもうまくいっているのが良いと感想をいただきました。このように、上手に継承しているところは珍しいと思いますが、若い世代に継承しているところは、イノベーションによる商品開発や若い世代の意見を尊重する風潮などキラリと光るポイントがあるのがとても印象的でした。越前には半径10km以内に5つの伝統工芸が存在する、伝統工芸地域なのです。世界的にも珍しいと思われるこの地域には、若い世代が伝統工芸をテーマにした新しい風を至る所で感じます。越前伝統工芸地域はこれからも目が離せませんね。

最後は「もてなしや絆」さんで日本らしいランチをご案内してお別れしましたよ!