迫力が魅力の高倉谷砂防
6月11日(土)に行われた砂防遺跡見学会の様子をご報告します。
場所は福井県南越前町にある高倉谷川です。
当日は午前9時半から受け付け開始、10時アカタン砂防見学コースと高倉谷砂防見学コースに分かれてマイクロバスにて小雨の降る中それぞれ出発しました。
今回のイベントは、日野川流域交流会が助成を受けた河川整備基金助成事業として、「川に学ぶ常設フィールドづくり活動」の一環で、アカタン砂防フィールド・ミュージアム連絡会が開催したものです。
連絡会構成は、日野川流域交流会、田倉川と暮らしの会、福井県、南越前町、NPO福井県砂防ボランテア協会、環境文化研究所。
高倉谷の参加者は、一般市民や地元住民のほか、京大や行政の砂防専門家、地質コンサルタントなど17名が参加しました。
事前に田倉川と暮らしの会 瀬戸集落の語り部 伊藤武男さん(71)が10日ほどかけて草刈りし、見学路を整備し、沢には梯子をかけるなど準備して下さいました。
瀬戸の集落に注ぐ高倉谷を1.5km南に上ったところで、東西に谷が分かれています。西高倉谷を少し上ったところに西高倉谷1号堰堤が発見されました。
伊藤さんが整備しなければとうてい観ることのできない深い谷に眠っていました。
アカタン砂防と異なって、水通しを中央に設けた垂直に近い石積みでした。
巨石はアカタンと同じくらいの巨大な切石や野石を使ってあり、100年近く経っているという高倉谷砂防堰堤群は、アカタン砂防の女性的な魅力に対照的で、逞しい男性的な迫力があり、先人たちの労働の美しさを感じました。
参加者は目前に立ちはだかる姿にしばらく呑み込まれていました。
その後東高倉谷を廃村になっている高倉集落跡までの間に発見された3箇所の石積み堰堤を見学しました。
伊藤さんは、この谷の奥には未だ数カ所の同じような堰堤があるといいます。
宅良谷の貴重な資源を少しづつ発見し、保全しながら「川に学ぶ常設フィールドづくり活動」をしていこうと約束して解散しました。