「アク取り」でみせるプロの技!
森のめぐみ・とちの実をいただこう(3回シリーズ)の第2回が行われました。今回はとちの実の「アク取り」がメインです。
「とちの実」は縄文時代から食べられてきた食材で飢饉の時は飢救作物として保存されてなじみ深い実です。
ですが栃の実を拾って、実際に食べられるようにするにはとっても時間と手間とテクニックが必要であることはあまり知られていません。
このシリーズでは古くからの食文化や様々な知恵と工夫、そしてとちの木がある森林との良い関係などを学びます。
講師は伊藤武男さん。とち餅作りだけでなく、山菜や山仕事、道具の直し、物作りなどなんでもできるプロです。
瀬戸地区の高倉砂防えん堤のことも伊藤さんにお聞きすれば教えていただけます。
第2回の最初は、瀬戸の集落センターで区長の伊藤さんから栃の実の話と先週の作業のおさらいをしました。
前回参加した「皮むき」経験者から手順や作業の感想などを話してもらいました。なかなか難しいということから、ちょっと痛い思いをしてしまった!など楽しい話で盛り上がりました。
さて、第2回の「アク取り」はとてもとても大変な作業です。
まさに「時間と手間とテクニックが必要」となります。
第1回に殻をむいた実を7日間ほど川の水につけ、流水でアクを取ります。たっぷりと水にさらした実を、沸騰しない温度でゆっくりと煮ていきます。
こちらはなんと、7時間以上!その間、絶対に沸騰させてはいけないのです。沸騰させてしまうと、実が溶けてしまうそうです。
武男さんは早朝3時からこの作業をしてくださいました。感謝感謝です。
じっくりと煮ていくと、実の中の色が茶色くなってきます。
アクは抜けつつある状態です。食べてみると、少し苦みがあり完全には抜けていません。
この日は7時間30分煮て、次の工程へ。水を切って、大きく平たい容器に移します。
この時、周辺は香ばしくおいしそうな匂いが漂います。
このまま「食べてしまいたい」衝動に駆られますが、、、食べられません。
「とちの実」最後のアク取りの工程へ。
とちの実の上に<そばの灰>2升を振りかけよく混ぜながらとちの実の表面に灰が着くようにします。混ざったところで、熱湯をかけ、またよく混ぜます。
次に<木の灰>をいれて、同じように混ぜる、お湯を入れるを繰り返します。<木の灰>は2種類あります。1つは堅木の灰です。楢や欅などの堅い木を焼いて灰にしたものです。
もう1つは普通の木を灰にしたものです。
武男さんはアク取りを行う時期や天気、量に合わせて温度や量を少しずつかえます。
<そば灰>と<木灰>によってとちの実のアクが出てきます。そのアクと灰が反応し熱を発し、お湯の温度がドンドン上がっていきます。
その熱で、とちの実が溶けてしまわないように何度もかき混ぜ上下を入れ替えるようにして温度を下げます。
ときどき、武男さんが灰まみれのお湯をぺろりと舐めます。お聞きすると、温度とアクが抜けたか確認をしているそうです。
ならば私たちもと真似して、ぺろり。味は、、、灰の味と少し渋いなんとも言えない味わいです(笑)
こうして、舌ではアクの抜け具合、指先では温度を確認して作業を進めていきます。
ある程度、温度の上昇が落ち着いたらそのまま翌朝まで、そっとしておきます。
今日の作業はここまで。
翌朝、灰を洗い落としようやくアク取り完成です。
次はいよいよ、とち餅作り作りです!楽しみですね。